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リップ新商品 ポテンシャル評価

作成日:2026-07-15 位置づけ:入口WHO×CEPの売上規模を意思決定者が判断するための材料。ここでは売上を当てにいくのではなく、「どの条件がそろえば、どこまで届くか」を金額のレンジで示す。WHOの最終確定は関が行う(15_WHO_CEPマップ_kettei.md)。


0. 結論(先に読む一段落)

条件付きで進める価値がある。入口は W1×C04を主にし、C01を反復習慣C09/C07を買い足し・獲得の表現に使う。購買理由の入口はC18a(買った色が自分の唇で思いどおりに出なかった後の選び直し)で、C04はその不満を最も見せやすい実演の場、C01は朝の反復習慣である。入口セルだけの中央ケースは 4.12億円 で、市場が大きいこと自体は5億円を意味しない。年商5億円は、中央ケースの延長では自動的に届かず、後述の実行条件を満たしたときにだけ届く。

この文書の数字は売上予測ではなく、意思決定用レンジである。保守・中央・強気は「悲観・本命・楽観」ではなく、置いた仮定の組み合わせを金額に翻訳したものである。仮定が変われば金額も変わる。


1. この文書の読み方(基準の分離)

1-1. 事実・推定・仮定を分ける

本文の記述には次のラベルを付す。「要検証」で逃げず、確定できない数量には仮定の数字を必ず置く。

1-2. 3つの金額基準を混同しない

基準 定義 この文書での役割
金額SAM(億円) 消費者が支払う市場金額のうち、入口セルに対応する部分。円ベース。 主指標。規模判断はこれで行う。
数量相当SAM(億円) 金額SAMを、市場基準単価と自社単価の差で数量に読み替えた参考計算。 参考計算。単価差の影響を見るためだけに使う。
当社認識売上(億円) 当社の損益計算書に売上計上される金額。 事業判断の着地。消費者販売額にチャネル実現係数を掛けて求める。

富士経済の公開リリース962億円は、評価基準(対象商品の範囲・実売か出荷か)が公開ページだけでは十分に分からない【事実:公開ページに算定基準の詳細記載なし】。 よって金額SAMを主指標とし、単価補正による数量読み替えは「数量相当の参考計算」として分けて扱う。

1-3. チャネル実現係数の定義(粗利率ではない)

チャネル実現係数は粗利率ではない。 消費者が店頭・ECで支払う金額(消費者販売額)のうち、当社の損益計算書に売上計上される割合である。自社ECはほぼ全額が当社売上、モールは手数料控除後、小売卸は卸値ベースで消費者価格より低い。この加重平均が実現係数である。粗利や利益とは別の概念で、あくまで「消費者販売額 → 当社認識売上」の換算係数である。

1-4. 加算してはいけないもの


2. 判断要約(入口セル W1×C04+C01)

2-1. 入口セルの規模と実現可能売上

指標 保守 中央 強気
入口セルの金額SAM(億円・主指標) 36.1 67.3 108.2
実現可能な当社認識売上(億円) 0.45 4.12 12.22

2-2. C18a・C04・C01の役割

セル 役割 位置づけ
C18a 購買理由の入口 「買った色が自分の唇で思いどおりに出なかった」直後に、次を選び直す瞬間。買う理由をここで立てる。
C04 実演 食後・人に会う前の残色修復。顕在需要(落ちない リップ月間14,800、飲み会リップ6,600)と短尺での見せやすさが最も強く、売上規模の入口セルはここに置く【事実:検索語は15A115_WHO_CEPマップ §1-1】。
C01 反復習慣 朝、好きなリップを塗る前の土台づくり。反復購入と使用頻度を支える。

3. 事実と仮定の分離

3-1. 公開事実(出典つき)

内容 数値・記載 出典
富士経済 2025年見込 リップカラー市場 962億円、前年比8.0%増 https://www.fuji-keizai.co.jp/press/detail.html?cid=25052
同ページ フェイスパウダー(カラーパウダー) 292億円、12.7%増。チーク市場そのものではなく、用途類似の隣接カテゴリの代理指標として扱う https://www.fuji-keizai.co.jp/press/detail.html?cid=25052
富士経済 2023年見込 リップクリーム市場 235億円、3.5%増 https://www.fuji-keizai.co.jp/press/detail.html?cid=23079&la=ja&view_type=2
富士経済 2024年見込 メイクアップ市場 6,233億円、9.5%増 https://www.fuji-keizai.co.jp/press/detail.html?cid=24062&la=ja
花王引用のインテージSRI+ カラーリップクリーム 2024年累計金額が前年比150%。1年の市場比較であり、将来成長率ではない https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2025/20250708-001/
LIPS調査(n=1454) 持ち歩き2本が39%。母集団に偏りがあり、W1比率の直接証拠にはしない https://lipscosme.com/articles/10948
Hot Pepper Beauty Academy 2025年下期調査 p.43 女性の口紅・グロス購入者の平均購入単価は全体2,591円、20代3,148円 https://hba.beauty.hotpepper.jp/wp/wp-content/uploads/2025/12/data_251211_cosme.pdf

内部資料(相対リンク)15_WHO_CEPマップ08_需要性多角リサーチ10_競合ディープダイブ03_成長拡張ブランド設計15R4_ポートフォリオ初手15R5_海外新習慣15A1_検索クエリ15A2_モール需要_kettei.md

3-2. 仮定(すべて数字で置く)

仮定項目 保守 中央 強気 補足
W1のカテゴリ購入数量シェア 15% 20% 25% 人口比ではなく、購入数量の構成比の仮定
C04+C01に対応するW1年間購入の比率 25% 35% 45% 入口セルに落ちる購入の割合
市場基準単価(円) 2,600 2,200 1,800 2,600はHBA全体2,591円を丸めた値、2,200は計画値、1,800はマス価格帯寄りの上振れ条件
自社税込単価(円) 1,980 2,200 2,420 通常価格の設定レンジ
コアセル内の複数年獲得率 2.0% 8.5% 12.0% 広告CVRではない。数年かけて入口セル内で獲得する割合
チャネル実現係数 82% 72% 70% 消費者販売額 → 当社認識売上の換算係数(粗利率ではない)

3-3. 計算式

金額SAM       = 962億 × W1購入数量シェア × C04+C01購入比率
数量相当SAM   = 金額SAM × 自社単価 ÷ 市場基準単価
当社認識売上   = 数量相当SAM × コアセル獲得率 × チャネル実現係数

中央ケースの生式(実際の数値を入れたもの)

962 × 20% × 35% × (2200 ÷ 2200) × 8.5% × 72% = 4.12億円

3-4. 3水準の計算結果

水準 金額SAM(億円) 数量相当SAM(億円) コア数量(千個) 獲得(千個) 消費者販売(億円) 当社認識売上(億円)
保守 36.07 27.47 1,387 27.8 0.55 0.45
中央 67.34 67.34 3,061 260.2 5.72 4.12
強気 108.23 145.50 6,013 721.5 17.46 12.22

丸め差がある(各段は元の式から算出し、表示は小数第2位で丸めている)。中央は自社単価と市場基準単価が同じ2,200円のため、金額SAMと数量相当SAMが一致する。


4. 5億円までの3年例

以下は「5億円に届く実行の一例」であり、確定計画でも予測でもない。各年の人数・個数・単価は意思決定用レンジの中の1本の道筋である。

4-1. 年次の積み上げ

年間購入者 1人あたり個数 販売数量 認識単価 当社認識売上 商品・チャネルの状態
1年目 47千人 1.15個 54千個 1,850円 1.00億円 1処方×3色。自社EC・モール主体、催事で実演
2年目 120千人 1.35個 162千個 1,730円 2.80億円 6〜8実SKU。C05/C07/C09を追加、250〜500店舗
3年目 212千人 1.50個 318千個 1,570円 4.99億円 9〜12実SKU、800〜1,000店舗

認識単価は、チャネル構成が自社EC中心(高い)から小売卸中心(低い)へ移るにつれ、加重平均として下がる。数量は伸びるが1個あたりの当社認識額は下がるため、単価と数量を両方見る必要がある。

4-2. 3年目のチャネル内訳

チャネル 構成比 数量 単価 当社認識売上
自社EC 25% 79.5千個 2,100円 1.67億円
モール 20% 63.6千個 1,760円 1.12億円
小売卸 45% 143.1千個 1,100円 1.57億円
催事等 10% 31.8千個 1,980円 0.63億円
100% 318千個 4.99億円

800〜1,000店舗なら、小売卸は1店あたり月12〜15個の消化が必要(年143.1千個 ÷ 12か月 ÷ 800〜1,000店)。この消化速度が成り立つかどうかが、3年目5億円の分岐点になる。

4-3. 平均1.50個の内訳と入口セルの合成

4-4. SKUの役割

SKU群 役割
C04/C01のヒーロー3色 初回購入と反復購入の中核
C09の新色、C07の持ち歩き仕様 買い足しを生む
C03の荒れにくさの証拠、後発のケア/下地 解約・離反を抑える
C05 C04の中の具体的な場面。別市場として加算しない

5. 拡張の天井(入れ子で示す)

各段は単純加算ではなく、重複を控除した累計の上限目安である。金額SAMベースで、CEP拡張と隣接WHO拡張を分けて積む。

5-1. 段階別の累計金額SAM

段階 内訳の仮定 保守 中央 強気
① 入口 W1×C04/C01 W1数量シェア15/20/25% × C04+C01比率25/35/45% 36 67 108
② W1内でC05/C07/C09/C03まで W1数量シェア15/20/25% × 関連購入比率50/60/70% 累計72 累計115 累計168
③ W3/W5まで(重複控除後) 下の増分を②に加算 累計116 累計209 累計329
④ リップケア 公開TAM235億 × 関連15/22/30% = 35/52/71 累計151 累計261 累計399
⑤ フェイスカラー周辺 カラーパウダー292億を代理指標 × 関連10/15/20% = 29/44/58 累計180 累計305 累計458

(③の増分の内訳)

隣接WHO 仮定 保守 中央 強気
W3の増分 数量シェア8/12/18% × 関連比率30/45/50% × 非重複係数85/83/85% 20 43 74
W5の増分 数量シェア10/15/22% × 関連比率30/40/50% × 非重複係数83/88/82% 24 51 87

5-2. 層2(ブランドポートフォリオ)の規模目安

メイクアップTAM6,233億円は第一ブランドのSAMではない。第2ブランド以降を含むポートフォリオ全体の外枠として、規模の目安だけを示す。

指標 保守 中央 強気
小売シェア仮定 0.35% 0.50% 0.70%
認識係数 70% 70% 70%
当社認識売上の規模目安(億円) 15.3 21.8 30.5

別WHO・別課題なら別ブランドにする(15R4_ポートフォリオ初手 原則3)。共用する資産は、開発・OEM・チャネル・計測の型である。個人単位の顧客データを目的外で別ブランドに共有しない(15R4 原則4、03_成長拡張ブランド設計 §3-9)。


6. 大きくなる条件とニッチ止まりの条件

具体的な閾値で示す。閾値を割ると、下の式のとおり年商1〜2億円台に止まる。

6-1. 上振れ(5億円以上へ向かう)条件

条件 売上への効き方
通常価格2,200円で、初期投入店舗の8週消化が60%以上 値引き依存を避けられ、認識単価が保て、3年目の4.99億円の単価前提が崩れない
180日買い足し率が35〜40%以上、平均1.4〜1.5個 4-3の平均個数と買い足し40%が成立し、同じ顧客からの数量が積み上がる
C04の実演で、既存の多層塗りより塗り直し工程が減り、保湿・色戻りが体感できる C04を入口セルにした前提(顕在需要×実演適性)が実売に転換する
800〜1,000店で月12〜15個/店を消化 4-2の小売卸1.57億円が成立し、3年目5億円の45%を支える
年3時点で新規客の30%以上がC09/C07/W3/W5から入り、C04の中核認知を壊さない 入口セルの外から58千個の増分が入り、318千個が成立する

6-2. ニッチ止まり(年商1〜2億円台に止まる)条件

条件 売上への効き方
W1数量シェアが10%未満、または入口購入比率が20%未満 金額SAMが保守36億を下回り、獲得母数が縮む
通常価格消化が30%未満、値引き販売が30%超 認識単価が下がり、同じ数量でも当社認識売上が目減りする
180日買い足しが20%未満、平均1.2個未満 反復購入が立たず、初回客数以上に伸びない
300店以下、または月6個/店未満 小売卸が3-2の想定の半分以下になり、チャネルの柱が欠ける
上位3色に80%以上集中、追加色が新規/追加購入でなく在庫分散になる SKU拡張が売上増でなく在庫リスクに変わる

下振れの式の例:仮に保守の金額SAM36.07億で、獲得率を2.0%、平均1.2個、値引き常態化で認識単価を1,700円まで下げると、当社認識売上は 1〜2億円台前半 に止まる(コア1,387千個 × 2.0% = 27.7千個規模の獲得に、買い足しと単価の下振れが重なる)。市場が大きくても、これらの条件を満たせなければ規模は出ない。


7. 入口の比較(同じ数式ロジック)

同じ計算式で、入口候補を意思決定用レンジで並べる。単価・市場基準単価・チャネル実現係数は主表と同じ値を使う。

入口 保守 中央 強気 WHO仮定 CEP仮定 獲得率仮定
W1×C04/C01 0.45 4.12 12.22 15/20/25% 25/35/45% 2.0/8.5/12.0%
W1×C09 0.41 1.88 6.79 15/20/25% 30/40/50% 1.5/3.4/6.0%
W3×C08(外出・撮影) 0.12 0.58 1.79 6/10/15% 20/30/40% 1.6/2.8/3.3%

(単位はすべて当社認識売上・億円)

7-1. 比較軸

W1×C04/C01 W1×C09 W3×C08
天井の高さ 中央4.12億で最も高い 中央1.88億 中央0.58億
発生頻度・買い足し 食後・朝の反復で高い 新色発見時に限られる 撮影・外出時で狭い
独自資産 利用文脈・商品証拠・再購入データ・色データ・クリエイター資産まで一つの設計でつながる 色データは残るが新色競争に埋もれやすい 投稿映えは残るが再購入データが薄い
模倣されやすさ 反復課題と証拠の蓄積で守りやすい 新色は追随されやすい 演出は追随されやすい

7-2. 結論

C09は金額SAMが大きく見えても、新色競争の中で獲得率が下がる(獲得率仮定3.4% < C04の8.5%)。C08は投稿映えするが発生頻度が狭く、天井が低い。C04は、反復する課題とC01の朝習慣に接続し、C03の商品証拠、C07/C09の買い足しまでを一つの設計でつなげやすい。 よって、実現可能な売上と資産の蓄積の両面で初手に置く。


8. 関への一言

条件付きで進める価値がある。最も天井が高い入口はW1×C04で、C01を反復習慣、C09/C07を買い足し・獲得に使う。年商5億円は中央4.1億円の延長では自動的に届かず、コアセル獲得率10.3%か、コア260千個+隣接58千個、または800〜1,000店・月12〜15個/店・買い足し35%以上のいずれかを実現したときに届く。

市場が962億円と大きいことは、5億円を保証しない。届くかどうかは、上の実行条件を満たせるかで決まる。


9. 出典一覧

公開情報

内部資料(相対リンク)