← ハブに戻る

リップティント新商品:需要性多角リサーチ

調査日: 2026-07-15
対象: 日本市場を主対象とし、公開Webで確認できる情報。検索結果・ランキング・SNSの表示値は取得時点で変動する。
注意: 本稿の「事実」はリンク先で確認できた記載又は公開表示に限定する。検索語の月間検索数、SNSのハッシュタグ総再生数、モールの販売個数は、ログインや有償ツールなしでは再現可能な取得値を確認できなかったため、推定で補わない。

1. 総括

需要性は、要素ごとに強さが大きく異なる。

検索データは言葉になった顕在需要を捉えやすい反面、新しい習慣がまだ一般語になっていない場合は過小に出る。本調査で検索規模を確認できなかったことは「需要ゼロ」の証明ではないが、規模を主張する根拠にもならない。

2. 需要の強度マップ

需要要素 証拠の強さ 根拠と出典URL 構造需要か一過性トレンドか 示唆
唇の保湿・乾燥対策 強い事実 @cosmeの2018年記事では、リップに求める機能の1位は「うるおい・保湿」86.2%。調査記事。LANEIGEは夜用リップマスクを公式に販売し、8時間後の角質変化試験も公開。公式 通年の構造需要。ただし乾燥は秋冬に強まりやすい 夜訴求の前に、保湿実感と荒れにくさを商品証拠で示す必要がある。
色持ち・落ちにくさ 強い事実 同@cosme記事では「発色」64.7%、「落ちにくさ」57.3%。富士経済は2025年の国内リップカラーを962億円、前年比8.0%増と推計し、仕上がり・色味・立体感重視への移行を記載。富士経済 構造需要。マスク期の単純な耐久性から、保湿・仕上がりとの両立へ評価軸が拡張 「美容液ティント」の中核便益候補。ただし「落ちない」は衣類・食器への移りも含めて検証が必要。
色付き保湿(カラーリップ) 強い事実 花王はインテージSRI+(カラーリップクリーム市場、2024年累計金額)に基づき、2024年市場が前年比150%、2019年比112%と発表。花王 構造需要に近い成長。2024年の前年比は一時点であり、将来成長率ではない 保湿と色を一体で求める土台はある。夜用途を成立させる証拠ではない。
粘膜/ミュートの自然な血色感 強い事実 LIPSの「#粘膜リップ」には、2026-01-28時点で2,917件の口コミ表示。LIPSタグ。富士経済もリップ市場で色味・艶感・立体感を重視する潮流を記載。富士経済 トレンド要素を含むが、自然な血色感そのものは継続的な選択基準 「粘膜」だけでは新規性は弱い。色の自然さ、発色の再現性、パーソナルカラー適合を設計する。
リップの携帯・塗り直し 強い事実 花王はカラーリップを、食後や乾燥が気になる際のメイク直しに使えると訴求。花王。TikTokの公開ハッシュタグ集計では「#リップ」が43億再生と表示されたが、第三者集計であり市場規模ではない。表示ページ 携帯は構造行動。SNS再生数は一過性の投稿量も混在 チャームは携帯行動を助ける付加価値として検討できる。
チャーム/キーリング型リップ 弱い傍証 AMUSEは「ケア/ティントバームキーリング」を、バッグに付けて持ち歩ける商品として2025年10月から全国ロフト・PLAZAで発売。AMUSE発表 アクセサリー化のトレンドは確認できるが、定着度・売上規模は未確認 容器が利用頻度・紛失防止・露出をどれだけ増やすかを使用テストで測る。
夜の唇保湿 強い事実 LANEIGEは「寝ている間に」うるおいを与えるオーバーナイトリップマスクを公式販売。公式。これは色付きではなく角質ケアを主目的とする。 構造需要。ただしブランド実績を市場全体の人数へ換算はできない 夜使用の受容性はある。色付き就寝への受容とは別に扱う。
夜に色を仕込み、寝起きの血色を得る 弱い傍証 フジコ「朝可愛グロス」は、就寝前に塗り「寝起きのすっぴんを盛る」「寝起き時の唇の血色を良くしたい」と明記。公式。2019年発売時に即完売、2020年に再発売との業界報道もある。WWDJAPAN 実在する商品・訴求。ただし公開の販売個数、リピート率、代表性ある需要率は未確認 既存の未充足ではなく、先行商品がある前提で、色残り・転写・保湿・朝の便益を上回る必要がある。
海外のovernight lip stain 弱い傍証 TikTok Shopの「Sacheu overnight lip stain」ページは、寝起きの色付き唇をうたう。ただしページ本文はAI生成表示であり、販売実績の根拠には採用しない。TikTok Shop。Vogueは2025年のTikTok美容話題としてSacheuのピールオフ・リップステインに言及。Vogue 米国で話題化の傍証。普及率、韓国での普及、日本への時間差は未確認 海外バズを国内需要規模の根拠にしない。日本の実使用・安全性・購入意向で再検証する。
ティントの乾燥・荒れ、就寝中使用への抵抗 強い反証 LIPSのティント解説は「就寝前は必ず落とす」ことを案内。LIPS。レビューには乾燥・皮むけの不満も見られる。LIPSレビュー例 乾燥・刺激への懸念は構造的な受容障壁 「ティントなのに夜も使える」は、一般的な注意と逆方向。刺激性、枕移り、翌朝の状態を事前に検証し、言える範囲だけを訴求する。
夜ケアで色は不要という見方 強い反証 LANEIGEの夜用商品は保湿・角質ケアを便益とし、色を主張していない。公式。Lemon8の投稿でも、ティントは寝る前のものというより日中の乾燥対策と血色感に使いたい、という個人見解が示される。投稿 反対意見の存在は確認。ただし比率は未確認 夜の主便益を保湿とし、色を任意の副次便益にする案も比較対象に残す。

3. 観点別の調査結果

3-1. 検索クエリ需要

確認できたこと

未確認と解釈

3-2. EC/モール・口コミの需要

確認できたこと

未確認と解釈

3-3. SNSプラットフォーム別

プラットフォーム 公開Webで確認できたこと 読み解き 「夜に色」の判定
TikTok 第三者の公開集計では #リップ が43億再生と表示されるが、一次プラットフォーム値ではない。表示ページ。米国ではSacheuのピールオフ・リップステインが2025年のTikTok美容話題として報じられた。Vogue 発見と使い方の模倣に向く。再生数は発見量であって購入・習慣化を意味しない。 日本で「夜に色」が継続習慣として大規模に語られる公開数値は未確認。海外の話題は着火可能性の傍証に留まる。
Instagram 公開Web検索で、ハッシュタグ総投稿数を再現可能な形では取得できなかった。 世界観・バッグ装着・色見本など保存されやすい表現の検証に向く。 夜の血色訴求の投稿規模、保存率、購入導線の成果は未確認。
X 検索結果には、ティントの乾燥・荒れの不満を引用するまとめやQ&Aが見つかるが、投稿母数・比率は取得不能。 本音・反論・炎上兆候の把握に向くが、投稿数が人口比を表すわけではない。 「色付きで寝る」への抵抗を探す場として有用。現時点の公開検索だけでは量的判定はできない。
YouTube YouTubeはハッシュタグ検索で該当動画を一覧表示できる仕様。YouTubeヘルプ 比較・使用感・成分・長期レビューの検討に向く。再生数、コメントで「朝も続ける」かを確認できる。 「夜リップ」「朝可愛グロス」「overnight lip stain」のレビュー本数・継続使用コメントは今回未集計。未確認。
Lemon8 「ティントは寝る前に塗るものというより日中の乾燥対策+血色感」とする投稿が確認できた。Lemon8 体験談・手順・比較の検討に向くが、個人投稿は母集団を代表しない。 夜ケアの話題はあるが、色を残すことを主目的とする定着は確認できない。

SNSでは、短期間の再生・投稿増を「バズ」、複数時点の購入、使い切り、再購入、日常場面での自発的な使用報告を「習慣定着」と区別する。本調査で確認できるのは、粘膜色、保湿、キーリング、海外のovernight stainの話題化までであり、夜の色仕込みが日本で習慣定着した証拠は未確認である。

3-4. カテゴリ統計の裏取り

素材内の数値・表現 原典照合結果 判定
リップカラー962億円、前年比8.0%増(2025年見込) 富士経済の2025年国内市場見込に同じ数値がある。原典 正しい。ただし実績値ではなく2025年見込である。
カラーリップクリーム市場前年比150%(2024年) 花王がインテージSRI+の市場累計売上金額として明記。原典 正しい。比較基準は2024年/2023年であり、ブランドの150%成長ではなく市場の前年比。
リップクリーム前年比50.2%増(2023年9月) True Dataはドラッグストアでの2023年9月の売上が前年同月比50.2%増と発表。原典 正しい。ただし全国市場の通年成長率ではない。記録的高温の9月、ドラッグストアという母集団限定。
リップに保湿86.2%、色持ち64.7%、唇へのやさしさ57.3%、血色感32.1% @cosme原典は保湿86.2%、発色64.7%、落ちにくさ57.3%、ツヤ感44.6%、ハリ感32.1%。原典 数値ラベルが誤り。 64.7%は色持ちではなく発色、57.3%は唇へのやさしさではなく落ちにくさ、32.1%は血色感ではなくハリ感。
「保湿美容液ティント×粘膜ミュート×夜も使える」は空白/色付き就寝ケアの公式商品は国内外ゼロ フジコが就寝前に塗り、寝起きのピンク色・血色感を訴求する「朝可愛グロス」を公式販売。公式。AMUSEもティントバームキーリングを「眠っている間の乾燥から保護」と訴求。AMUSE 誤り。 完全な空白・ゼロの断定は撤回する。処方、色残り、主用途、チャームとの統合などの差分は別途比較が必要。
LANEIGEが美容液ティントの先行 LANEIGEの確認できた主力夜用商品は、オーバーナイトのリップマスクであり、色付きティントではない。公式 要修正。夜ケアの先行例ではあるが、美容液ティントの直接先行例としては不正確。

富士経済のリップクリーム235億円(2023年見込)については、今回の公開検索では同社原典を確認できなかったため未確認とする。矢野経済研究所、インテージ、True Dataの公開情報も、リップカラー/リップクリーム全体の統一市場規模をここでは追加確認できなかった。

3-5. 競合のトラクションと先行事例

対象 確認できた事実 本商品への含意
LANEIGE リップスリーピングマスク 夜用の無色リップマスクとして、保湿・角質ケアを公式訴求。25〜35歳女性32人の外部試験で、使用8時間後の古い角質40.4%減少と表示。公式 夜の唇ケアの便益は既に強い。色を追加する価値は別途証明が必要。
フジコ 朝可愛グロス 就寝前に塗り、寝起きの血色感・ほんのりピンクを訴求。公式価格は税込1,540円表示。2019年発売時の即完売、2020年再発売が報じられた。公式 WWDJAPAN 「夜に色」の競合は存在する。最も近い比較対象として、色の自然さ、枕移り、翌朝の保湿、日中への連続使用を比較する。
AMUSE ケア/ティントバームキーリング バッグに付けて持ち歩けるキーリング型。米エッセンス配合、クリア/ティントの2タイプ、日中・眠っている間の乾燥から保護と発表。AMUSE チャーム×ティント×夜の保護は部分的に既存化。容器だけでは差別化にならない。
rom&nd、リップモンスター、ちふれ、OPERA 各ブランドの売上・累計販売数を、同一基準の一次情報では今回確認できなかった。 ブランド名や一般的なヒット認識を需要規模の証拠に使わない。商品単位のレビュー、店頭POS、調査会社データで追加照合する。

3-6. 海外・韓国の先行状況

4. 「夜に色」需要の判定

結論

需要の行為と商品は実在するが、規模・継続性・増分購買は未確認である。

「夜に色を仕込む」は、完全な新習慣でも、すでに一般化した構造需要でもない。少なくとも以下の三層を分ける必要がある。

  1. 夜の保湿ケア:強い事実。LANEIGEの夜用商品があり、保湿・角質ケアの公式試験がある。LANEIGE
  2. 朝に自然な血色が欲しい:商品化されたウォンツ。フジコは就寝前に塗り、寝起きのすっぴんと血色感を改善すると明示している。フジコ
  3. ティントを夜通し使い、翌朝から日中まで色を残したい:公開の代表性ある調査、検索規模、販売実績は未確認。しかも一般的なティント解説には就寝前のオフがある。LIPS

したがって、想定できる初期の対象は、すでに夜のリップケアを行い、すっぴん時の血色感にも関心があり、軽い色残りを好む一部の生活者である。この層の大きさ、年齢、同居・宿泊・朝の時短といった場面、支払意向は未確認である。「女性全般」「ティント利用者全般」へ一般化してはいけない。

特に、フジコという直接に近い先行品があるため、検証すべき問いは「夜に色を仕込む需要があるか」だけでは足りない。「既存の朝可愛グロス又は無色ナイトリップから乗り換える理由があるか」「色を残すことで朝の手間・気分・対人不安のどれがどの程度変わるか」「色移り・刺激・衛生への不安を上回るか」である。

5. 反証と受容条件

反証・懸念 確認状況 商品・訴求への条件
ティントは乾燥しやすい/荒れる LIPSは就寝前のオフと保湿を案内し、レビューでも皮むけ・乾燥が確認できる。解説 レビュー 連用試験、敏感な唇を含む使用感、翌朝の乾燥・皮むけを競合対照で確認する。
色付きで寝ると枕に付く フジコとAMUSEは夜使用を訴求するが、公開ページで枕移りの比較データは確認できない。 枕カバー転写と髪・歯・マスクへの転写を実測し、結果に応じて「夜通し」を言わない。
夜ケアでは色は不要 LANEIGEの主便益は無色の保湿・角質ケア。Lemon8にはティントは日中向きという個人見解がある。LANEIGE Lemon8 保湿のみ、保湿+透明感、保湿+色残りの三案を同一条件で比較する。
先行商品があるため空白ではない フジコの色付き夜用、AMUSEの夜も保護するティントバームキーリングがある。フジコ AMUSE 「初」ではなく、優位性を具体的な処方・朝の状態・携帯体験で定義する。

6. さらに埋めるべき需要の穴(一次調査)

今回のWeb調査では、以下は確認できない。いずれもデプスと定量を分けて実施する。

未確認の仮説 必要な一次調査 判定指標
「朝に色がある」ことが、夜の一工程を増やす価値になる 夜リップ習慣者、ティント離反者、朝の時短志向者へのデプス各8〜10名。洗面台・ポーチ・就寝〜起床の行動を時系列で確認 現用品、困りごと、代替行動、色の必要場面、拒否理由を分離する。
色付き夜用の増分需要 無色ナイトリップ、フジコ型、日中用美容液ティント、夜用色付き美容液ティントのモナディック定量 購入意向だけでなく、現用品からの切替意向、許容価格、週当たり使用意向、色移り許容を測る。
夜用と日中用を一本化する価値 7〜14日ホームユース。無色夜ケア、試作品、日中用ティントとのクロスオーバー比較 就寝前使用率、翌朝の保湿・色・枕移り、日中の再塗布回数、継続希望、再購入意向。
チャームが携帯・使用頻度を増やす 同一処方で通常容器とキーリング容器をA/B配布 バッグ装着率、紛失率、持参率、塗布回数、恥ずかしさ・邪魔さの評価。
誰に最初に刺さるか 候補層別の定量。夜ケア習慣、すっぴん血色不満、ティント乾燥経験、宿泊・早朝外出、バッグ装飾行動を聴取 需要の重なり率と、商品便益別の支払意向を確認する。

調査上の結論

開発の需要根拠として固定できるのは「保湿」「荒れにくさ」「日中の色持ち」「自然な血色感」「携帯性」である。「夜に色を仕込む」は、フジコの先行によって実在は確認できるが、主約束に置くには増分需要と受容障壁の一次検証が必要である。検証前の対外表現では、市場空白、国内外初、一般化した夜習慣といった断定を避ける。