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C. 製品設計

本章は、11_FINAL_spine.mdで確定したWHO、入口CEP群(2つ・同時)、約束、主便益、RTB、「夜に色」の順位を製品へ落とす。新しい便益は加えない。最初に完成させるのは、入口1(朝、好きなリップを塗る前に、乾燥と色ムラを整え、その色が自分の唇になじむ土台を作る)と入口2(食事や対人前に、乾燥・色落ちを整えて自然な色に戻し、必要なら好きな色を塗り直す)を同じ本体で満たす、低彩度のケアベースティントである。乾燥を悪化させず、上塗りをよれさせないことは成立条件である。手持ち色の暗転・強発色・濁り・ムラの失敗を減らすことを主便益とし、単品での自然な血色は補助便益であり、入口2で繰り返し使う理由でもある。二場面は同じWHO・処方・約束・「ベース→好きな色」の二段動作で相互補強する一組として扱い、別コンセプト化しない。

C-1. 製品設計の優先順位

処方、容器、色、外装は、次の順で判断する。

  1. 化粧品基準への適合と、口唇への使用安全性
  2. 元の唇色を薄く整える再現性
  3. 代表的な口紅・ティントを重ねた時の適合性
  4. 口唇を保護し、乾燥を防ぐ使用感
  5. 単品での自然な血色
  6. 時間経過後・食後の落ち方と塗り直しやすさ
  7. 容器の識別性、携帯性、所有体験

色持ち、強い発色、自然由来指数、チャーム、夜使用を同時に最大化しない。自然由来指数や「美容液」という名称は、安全性や性能の代わりにはならない。最終処方と試験から説明できる場合だけ採用する。入口便益が成立しなければ、容器や世界観で補わず、商品化を止める。根拠:09_薬事レッドフラグ確認.md10_競合ディープダイブ.md

C-2. 処方の方向

開発要件 目指す状態 確認方法の方向
低彩度の薄膜 元の唇色を完全に隠さず、暗さ・赤み・強さの影響を薄く整える。単品でも白く浮かない 元の唇色が異なる使用者で、無塗布・透明バーム・ベース候補を同条件比較
上塗り適合 代表的な口紅・ティントを重ねても、濁り、ヨレ、モロモロ、過度な滑りを増やしにくい 質感・色の異なる現行品を選び、ベース色×上塗り色×塗布量を比較。成立しない組み合わせも記録
乾燥を防ぐ 化粧品の範囲で口唇を保護し、乾燥を防ぐ。時間経過後も不快な膜感、つっぱり、皮むけ感を増やしにくい 最終処方の使用試験、連用時の主観評価、必要な機器評価。期間・対象・中止条件は製造販売業者と調査設計者が決定
自然な残り方 輪郭だけ残る、まだらに落ちる、縦じわへ濃くたまる状態を抑え、上塗りが落ちた後はベースの血色へ戻りやすい 塗布直後、時間経過後、飲食後、塗り直し後を同じ撮影条件で比較
継続できる感触 強い香味、刺激、べたつき、口への流入感を抑える。プランパー刺激を主便益へ混ぜない 官能評価と使用中止理由の記録。好意だけでなく不使用理由を残す
夜使用の追加条件 日中で成立した同じ処方を夜にも使えるかを、2つの入口CEP群が定番化した後、最後の条件付き拡張CEPとして別判定する 長時間接触、色素・香料・防腐剤、意図しない微量摂取、寝具・髪・歯への転写、翌朝の乾燥・色ムラを別試験

「好きな色すべてに合う」は要件にしない。重要なのは、誰にどの組み合わせが合い、どの条件では合わないかを買う前に示せることである。ここで得る条件別の結果は、色選び、EC、店頭、次の色開発に共通して使う。

C-3. 薬機・景表上の表現線

扱い 表現の方向
化粧品の範囲で使う 「口唇を保護する」「口唇の乾燥を防ぐ」「口唇にうるおいを与える」。メークアップ効果として「自然な血色に見せる」「低彩度の色で素の唇色を薄く整える」
性能試験と表示条件が一致する時だけ使う 「重ねた色が濁りにくい」「色ムラを減らす」「○時間」「食後も」「色が続く」「枕につきにくい」「夜も使える」「翌朝まで」。対象、塗布量、時間、飲食、比較対象をそろえる
使わない 「乾燥しない」「荒れない」「治す」「修復する」「くすみを改善する」「絶対落ちない」「すべての色に合う」、根拠のない「国内初」「唯一」

同じ基準をパッケージ、EC、店頭POP、投稿本文、字幕、ライブ、コメント返信、二次利用広告へ適用する。根拠取得前の主便益は開発要件であり、対外的な実証済み性能として扱わない。就寝時に使う色付き口唇化粧品そのものは一律禁止ではないが、最終処方、成分、配合量、長時間使用の安全性と広告根拠を製品ごとに確認する。根拠:厚生労働省「医薬品等の広告規制」09_薬事レッドフラグ確認.md

C-4. 容器構成

初期は、単体で使える化粧品本体を一つに絞る。同じ中身を夜用・日中用の二容器で強制販売しない。専用の詰替えも初回から導入しない。

構成 初期の扱い 役割と条件
化粧品本体 必須 密閉性、ワイパー、アプリケーター、塗布量、液漏れ、材料適合、残量確認を満たし、これだけで全便益が成立する。初期は「レフィル」と呼ばない
再利用する携帯ケース 条件付き 入口2(食事や対人前)の持参・想起を補助する、化粧品へ触れない条件付きの外装とする。持参率・使用頻度・識別・屋外耐久が上がる場合だけ導入し、具体機構は後段で決める
EC上の組み合わせ 条件付き 本体+携帯ケースを組み合わせる場合も、新しい化粧品SKUは増やさない。恒常値引きではなく、携帯体験を選べる構成にする
専用詰替え 後段 本体の使い切りと再購入が成立し、衛生、密閉、原価、MOQ、廃棄量に改善がある場合だけ開発する
夜用容器 後段 夜の増分購買と反復使用が確認され、塗布量・衛生・使用場所の違いに容器差が必要な場合だけ検討する。家用という理由だけでは追加しない

携帯ケースを採用する場合は、高温・低温、温度反復、光、雨滴、砂塵、振動、落下、キャップ保持、液漏れ、衣服への引っ掛かり、バッグからの脱落、清掃性を確認する。口元へ触れる部分を外気やバッグ表面へ露出させない。AMUSEがキーリング型の色付きケア商品を既に販売しているため、外形や可愛さだけを差別化にしない。主記号色、ロゴなしでも分かる一つの輪郭は設計対象とするが、具体色・形・機構は意匠、商標、製造性、耐久試験を通した後に決める。根拠:AMUSE公式10_競合ディープダイブ.md

C-5. 初期SKU仮説と色体系

初期は補整役割2〜3色を試作し、パーソナルカラー4シーズンをそのまま商品数にしない。色名ではなく、元の唇色に対する補整役割で試作し、発売する色数は比較使用・OEM・原価の確認後に確定する。意味のある役割だけを採用し、多色展開を先に固定しない。

試作上の役割 色の方向 採用条件
基準色 元の唇色を大きく変えず、単品の血色と上塗りの土台を整える 透明バームより、暗転・濁り・ムラの失敗が減る
彩度調整色 元の赤みが強く、上塗りが派手・強発色になる人の見え方を穏やかにする 白浮き、濁り、縦じわへのたまりを増やさない
暗転調整色 元の唇色の影響で、上塗りが暗く・くすんで見える人の明るさを薄く整える 不自然な白さを出さず、代表的な上塗り色で暗転を減らす

試作した役割のうち、比較使用で意味のある差が確認できたものだけを採用し、必要なら1色まで減らす。追加色は「新色を出すため」ではなく、既存色では失敗する唇条件と上塗り色が実売・相談・返品から確認された場合だけ作る。ケースの多色化、限定コラボ、4シーズン展開、夜専用色は、本体の正価購入と再購入が成立するまで増やさない。

C-6. ブランドとして育つ製品構造

商品拡張は、同じ約束「好きな色を、私の色に。」のもとで、占有するCEPを増やすために行う。SKU数そのものを成長とはみなさない。

拡張段階 製品上の対応 継承するもの 採用条件
入口CEP群の定番化(2つ・同時) 比較使用を通過した発売色で、朝・好きな色の前の土台と、食事や対人前に乾燥・色落ちを整えて塗り直す場面を、同じ本体・同じ色で取る 低彩度の補整、二段の塗布動作、比較データ、主記号 入口CEP群が正価購入、使用、再購入で成立
次 — 薄化粧の朝に一本 入口の単品使用が既存定番より選ばれ、時短用途への支払意思が確認できた後に広げる 同じ本体、同じ色、比較データ 時短用途での正価購入、再購入が成立
その次 — 長く塗り直せない前 乾燥と自然な色の持続が、既存の耐久ティントではなく本ブランドを選ぶ理由になる場合だけ加える 同じ本体、同じ処方 耐久用途での正価購入、再購入が成立
補助 — 携帯ケース 入口2(食事や対人前)の持参・想起を補助する条件付きの携帯ケースを導入。化粧品本体のSKUは増やさない 同じ色、識別資産 持参率・使用頻度が上がり、耐久・衛生・落下等の条件を満たす
最後の条件付き拡張CEP — 夜 まず同じ処方で夜使用を検証。必要性が確認された場合だけ夜用構成 日中で得た色・顧客・使用知 増分購買、反復、安全性、転写、翌朝状態がすべて成立。中心便益にはせず、いずれか未達なら実施せず日中の入口CEP群を強化する

カテゴリ横断は具体カテゴリを決めず、この拡張順が成立した後の条件付き余白として残し、同じ約束・色選択知・識別・顧客関係を移せる隣接課題が実需で確認された場合だけ後段で検討する。一般的なプランパー、眉、まつ毛、ヘア、アパレルへ品ぞろえ目的で広げない。新商品は、既存顧客の隣接CEPを取り、約束・色の選び方・識別・顧客関係の蓄積を強める場合だけ採用する。詳細な処方、色名、素材、最終容器、投入日程は、比較使用とOEM確認後に肉付けする。

D. マーケティング

D-1. チャネル戦略 — 自社ECで学び、試色できる小売へ広げる

本件のチャネルは、HJ発信者・ブランド公式の短尺動画で入口CEP群(2つ)を可視化し、自社ECで購入理由と顧客関係を持ち、比較結果が再現できたSKUを試色価値のある限定小売へ接続し、その後に面を広げる順を第一仮説とする。これはAMUSEやCipiCipiの事例から導いた普遍的な正解ではない。両社とも小売が初めてで、資本が限られ、商品の価値が「自分の唇と手持ち色で確かめること」にあるため、本件で採る順序である。

なぜこの順か

面を広げる順序

段階 主チャネル 役割 ブランド側に残すもの 次へ進む判断
0. 実市場確認 HJ発信者、ブランド公式、比較LP、有料予約または小規模販売 入口WHO・2つの入口CEP群を固定し、比較の見せ方、ベース候補、上塗り色、証拠、価格を確認。入口1(朝)と入口2(食後・対人前)の流入・有料行動を分けて測る 仮説ID、流入、実支払、拒否理由、連絡同意、使用前素材 日中の主便益と処方成立の見込みを確認
1. 自社EC中心 自社EC。TikTok Shopやモールは限定セルで併用 正価購入、色選択、使用、返品・相談、再購入を同じ顧客関係で把握 EC・CRM、色履歴、実験ログ、許諾済みUGC、広告学習、CS 特定発信者だけでなく購入が再現し、使用・再購入・供給が成立
2. 選択的小売 ロフト、PLAZA、@cosme STORE、アインズ&トルペ等の候補から限定店舗・ポップアップ 試色、触感、容器の確認、即時購入、棚での理解を検証 店舗別・SKU別POS、再発注、テスター反応、欠品、返品、購入後登録 平常時の正価回転、再発注、補充、テスター運用、チャネル採算が成立。具体値は商談基準取得後に固定
3. 面拡大 適合するバラエティ小売を地域・店数で拡大。その後ドラッグストア等 物理的入手可能性と補充購入を増やす チェーン別採算、地域別POS、SKU生産性、供給精度 店数を増やしても回転、粗利、正価比率、欠品、返品が崩れない
4. 海外・訪日客 越境EC、訪日客が試せる店舗 国内で成立した定番を新市場へ移す 国別需要、規制・表示・物流・CSの運用 国内のヒーローSKUと供給を確立し、国別条件を確認済み

小売商談は自社ECの確立後まで待たず、商品設計と並行して始める。ただし、全国導入を売上計画の前提にしない。小売初の現実解として、取引形態、卸、支払サイト、返品・値引き負担、初回発注、センター納品、テスター、什器、POS、追加発注、棚替えを同一フォーマットで確認する。仕入掛率や返品条件は公開情報で確定できないため、商談前に一般値を置かない。

モールは指名検索と即時購入の受け皿として使えるが、初期のデータ正本にはしない。Qoo10のコスメ基本手数料は現行公式表で10%で、条件により追加費用がある。上位セラー7〜9%という旧資料の記載は使わない。楽天・Amazonも公開料金に加えて個別費用が必要である。価格差は恒常値引きでなく、先行販売、色選び支援、組み合わせ、会員体験で作る。根拠:Qoo10公式手数料表V2_根拠検証_16-21.md

自社EC以外の購入者にも、任意同意の上で、色の使い方、購入後相談、交換時期の案内、使用記録を提供し、自社CRMへ接続する。購入先にかかわらず、ブランドが顧客を理解し、顧客が次の色選びに使える関係を残す。

D-2. GTMとサテライト — HJを実験速度とUGC供給に限定する

HJの役割は大量到達の確約ではない。契約上確保できる複数発信者で、同じ入口CEP群と主便益を異なる実在文脈へ置き、短期間に比較することと、権利処理できる実使用UGCを供給することである。起用可能人数、Audience Analytics、投稿条件、報酬、二次利用権、競合排他は未確認であり、確認前は「実験速度とUGC供給の可能性」と表記する。

SNS起点の事例では、SACHEUについて運営パートナーがTikTok Shop売上の約95%を他クリエイターのアフィリエイトリンク経由と説明し、短尺で「塗る→乾かす→剥がす→色が残る」が理解できる商品構造と購入導線の短さが確認できる。一方、CACと再購入は未確認である。rhodeには少数SKUのD2CからSephora店頭へ広げた事実があるが、知名度、資本、売上を本件へ掛け算しない。本件が移すのは、一目で分かる使用比較、複数の独立した語り手、購入地点への短い導線、需要確認後の小売接続という構造だけである。根拠:13_GTM成長事例.md

実験の固定条件と可変条件

固定する 比較する
WHO、入口CEP群(入口1:朝、好きなリップを塗る前に乾燥と色ムラを整え、その色が自分の唇になじむ土台を作る/入口2:食事や対人前に、乾燥・色落ちを整えて自然な色に戻し、必要なら好きな色を塗り直す)、約束「好きな色を、私の色に。」、主便益、禁止表現、素の唇→ベース→上塗りの比較順 元の唇色、手持ちの上塗り色、発信者、証拠の見せ方、動画冒頭、尺、価格セル、購入導線

同じ台本を読ませず、発信者本人の現用品と失敗経験を使う。ただし、発信者ごとにWHO・CEP・商品コンセプトを変えない。動画、LP、購入、使用、返品、再購入を同じ仮説IDでつなぐ。視聴数だけで採否を決めず、実支払、使用後の成立条件、再購入まで見る。肯定結果だけでなく、合わない唇条件・上塗り色・使用中止理由も商品改善と色選びへ戻す。

サテライトの設計

初期は、ブランド公式一つと、HJを含む独立クリエイター投稿、購入者UGCを先に作る。サテライトを大量に開設しない。GTM事例では、ブランド運営の多数サテライトが成長の主因だったことは確認できず、第三者クリエイター群の独立投稿が確認できるためである。

テーマ別サテライトは、次の編集テーマが継続して保存・検索・購入を生むと確認できた場合だけ追加する。

運営主体を明示し、中立メディアや一般消費者を装わない。同じ動画の複製投稿を行わず、各媒体の発見・保存・検索行動に合わせて編集する。元動画、編集可能な利用権、媒体・期間・地域・広告・店頭・事業承継後の利用範囲、実験ログをブランド側へ帰属させる。

D-3. プレミアム化 — Needsの上に自己決定のWantsを置く

Needs / Wantsの判定

根拠:08_需要性多角リサーチ.md11_FINAL_spine.md

高付加価値へ押し上げる四つの層

  1. 機能の成立:乾燥を防ぐ、低彩度の薄膜、上塗り適合、自然な落ち方を比較試験で示す。ここがなければ上位価格は成立しない。
  2. 選ぶ失敗の低減:自分に近い元の唇色、ベース色、手持ち色の成功・不成功を確認できる。単なる色数でなく、「どれを使えば失敗しにくいか」に対価を置く。
  3. 右脳的価値:好きな色を諦めないという意味、一つの主記号色、ロゴなしでも分かる輪郭、触れた時の質感、「ベース→好きな色」の二段動作、同じ画角の三状態比較を全接点で一貫させる。具体色、素材、形、最終名称は後段で決める。
  4. 自分の履歴と参加:購入者が自分の唇条件・ベース・上塗りの組み合わせを保存し、次の選色や相談に使えるようにする。許諾された実使用例を増やし、発信者の好みでなく、ブランドが持つ選択知へ変える。

メタリック外装、成分数、発信者名、限定コラボだけで高付加価値を説明しない。機能で初回の不安を下げ、選ぶ確かさと一貫した意味・識別・顧客体験で正価継続を作る。

価格の扱い

公式表示価格には、fwee 1,980円、to/one 2,970円、rihka 4,180円、Dior 4,950円、CHANEL 6,490円等がある。これは各価格の商品が存在する事実であり、各要素が支払意向を生んだ因果や、本件の受容規模を示さない。旧案の2,420〜2,970円を「第一候補」とする根拠はない。根拠:17_価格プレミアム.mdV2_根拠検証_16-21.md

本体の検証価格幅(要検証)は税込1,980〜2,970円とする。これは推奨価格でも確定価格でもなく、公式競合価格の間で実支払を比較するための仮の幅である。幅内の複数価格を、購入意向アンケートだけでなく、有料予約または少量販売で比較する。次をそろえるまで価格は確定しない。

試用障壁は恒常値引きでなく、色選び支援、サンプル、購入後相談、先行体験で下げる。モールの常時クーポンを前提に通常価格を作らず、値引き購入と正価購入の再購入を分けて見る。

D-4. 成長 — 入口CEP群を取り、隣接CEPを増やす

成長は、SKU数や投稿量を増やすことではなく、同じWHOが本ブランドを思い出す購買トリガーを、入口から隣接へ増やすことと定義する。入口は背骨どおり、入口1(朝、好きな色を塗る前に乾燥と色ムラを整え、その色を自分の唇になじませる土台)と入口2(食事や対人前に、乾燥・色落ちを整えて自然な色に戻し、必要なら好きな色を塗り直す)の、2つの入口CEP群である。

順序 占有するCEP 主な手段 新SKUの扱い 確認すること
1(入口CEP群・2つ同時) 朝、好きな色を塗る前の土台と、食事や対人前に乾燥・色落ちを整えて塗り直す場面を同時に占有する 比較使用を通過した発売色、三状態比較、色選び、自社ECと試色 増やさない 入口CEP群での理解、正価購入、仕上がり成功、再購入、指名
薄化粧の朝に一本で整えたい時にも選ばれる 同じ本体、時短訴求の検証 原則増やさない 時短用途での正価購入、再購入が成立
その次 長く塗り直せない前にも選ばれる 同じ本体、耐久訴求の検証 原則増やさない 耐久用途での正価購入、再購入が成立
補助 外出中すぐ手に取り、入口2(食事や対人前)を思い出しやすくしたい 条件付きの携帯ケース 化粧品本体のSKUは増やさない 持参率・使用頻度の増加、耐久・衛生・落下等の条件
最後の条件付き拡張CEP 夜ケアの最後に、翌朝の自然な血色も加えたい まず同じ処方で別検証。必要なら夜用構成 条件を通った時だけ 増分実支払、反復、安全性、転写、翌朝状態。いずれか未達なら実施しない

カテゴリ横断は具体カテゴリを決めず、この拡張順が成立した後の条件付き余白として残し、同じ約束・色選択知・識別・顧客関係を移せる隣接課題が実需で確認された場合だけ後段で検討する。

夜は中心便益にせず、上記のすべての条件を通過した場合だけ加える。通らなければ、2つの入口CEP群を強化する。

追加色、携帯ケース、詰替え、夜用、隣接カテゴリーはCEP拡張の手段であり、目的ではない。現在の製品と使い方でCEPを取れるならSKUを増やさない。新SKUは、現在品では解けない具体的な未充足があり、既存の約束、色選択知、識別、顧客関係を強める場合だけ投入する。

リピートは単なる補充通知にしない。購入時に保存した元の唇色、ベース、上塗りの組み合わせ、使用頻度、相談履歴を、次の使い方、買い替え、追加色の判断へ本人同意の範囲で使う。店頭購入者も任意登録で同じ支援へ参加できるようにし、購入場所を越えて自社保有の顧客基盤へつなぐ。

成長ドライバーの移譲

HJの実験速度とマテリアルのPRは、初期の加速手段に限定する。恒常成長は、ブランドの指名と自社が保有する顧客基盤へ移す。

段階 HJ マテリアル ブランド/JVが持つ成長要因
初期確認 複数発信者で比較し、実在する言葉とUGCを供給 問題、証拠、表現、危機管理を整理 EC、実験ログ、試験結果、権利処理済みUGC、顧客同意を保有
定番化 特定人物だけの成果を外し、別発信者で再現 第三者が確認できる資料、店頭説明、小売商談へ変換 ブランド公式、検索、購入者UGC、広告、限定小売で同じ購入理由を再現
恒常成長 補助的な新規検証に限定 節目の課題設定と第三者信頼の更新に限定 指名検索、自然流入、正価再購入、CRM、コミュニティ、非HJクリエイター、小売補充が中心

移譲を確認する指標は、HJ直接リンク以外の新規購入比率、単一発信者への集中、発信者の顔を外した広告・店頭での理解と購入、指名検索・自然流入、CRM経由の再購入、購入者UGC、店頭の平常時回転とする。固定の達成率は現時点で置かず、初期コホートの分布を取得してから段階移行値を決める。

EC、CRM、SNS・広告アカウント、ピクセル、商品・色データ、CS、試験結果、UGC利用権は、契約上ブランド/JVが保有し、特定発信者やHJ/マテリアルの継続支援がなくても運用を引き継げる状態にする。これにより、初期の「HJの発信+マテリアルPR」を、恒常期の「ブランドの指名+自社顧客基盤」へ移す。

D-5. PR — 初期反応を、第三者が確認できる信頼へ変える

マテリアルのPRは、発売リリースや掲載件数を増やすことではない。HJと初期購入者から得た反応を、問題の事実、商品の証拠、継続して語れる使用知へ変え、発信者のファン外と小売へ接続する。

段階 PRで扱うこと 実装 ブランドに残すもの
開発・検証 元の唇色で好きな色が暗転・強発色・濁り・ムラになる条件と、乾燥不安 先方資料の発話と代表性ある調査を分け、比較使用の方法、成立・不成立条件を公開可能な形に整理 問題設定、調査票、比較方法、主張―証拠表
ローンチ 「好きな色を、私の色に。」を実現する使い方と、何を確認したか 素の唇/ベース/上塗り後を同じ条件で提示。対象・比較・限界・使い方をメディア、EC、店頭で統一 正確な商品理解、色選び資料、許諾済み実使用素材、第三者が引用できる根拠
定着 使い切り、再購入、色の組み合わせ、合わない条件、店頭での発見 購入者レビュー、相談、正価再購入、限定小売の平常時回転を次の発信と商品改善へ戻す 指名、レビュー、使用知、小売商談材料、自社顧客関係

報道理由を「存在しなかった商品」「国内初」「夜にも使える」に置かない。近接競合がある前提で、手持ちの好きな色を捨てさせず、元の唇色との相性を比較して選べるようにするブランドという意味に置く。受賞やランキングは、適正な購入者レビュー、正価販売、使用実績の結果として得る。受賞前の示唆や、年度・部門・対象SKUを曖昧にした表示は行わない。PR事例は実装の参考であり、本件の売上効果を保証しない。根拠:20_PR戦略の型.mdV2_根拠検証_16-21.md

ステマ規制・景表法・薬機法に触れない運用

  1. 報酬、商品提供、アフィリエイト、投稿依頼、内容指示などブランド関与がある投稿は、一般消費者が広告と明瞭に分かる表示にする。依頼投稿と自発投稿をデータ上も分ける。
  2. 好意的な評価を条件に報酬・特典を付けない。自然発生レビューを依頼投稿のように編集せず、二次利用時は許諾、編集範囲、広告表示を管理する。
  3. 投稿本文、字幕、ライブ、コメント返信、EC、店頭POP、取材資料を一つの主張―証拠表で管理する。試験前に「乾燥しない」「濁らない」「夜も使える」「朝まで」「枕につかない」と言わない。
  4. 比較画像・動画は、照明、画角、撮影機器、塗布量、時間、飲食、画像補正をそろえる。フィルターや編集で性能差を大きく見せない。合わない条件も隠さない。
  5. 「国内初」「唯一」「No.1」、販売数、ランキング、受賞は、対象、期間、調査主体、比較範囲、正式名称を一次資料で確認できる場合だけ使う。
  6. 夜を扱う場合は、製造販売業者の安全性確認と性能試験後に、確認できた使用条件だけを表現する。一般的なティントの就寝前オフ案内と矛盾する訴求を無根拠で行わない。
  7. 発信者・購入者の外見不安を作らない。「すっぴんでは足りない」「寝起きでは人に会えない」と煽らず、好きな色を自分で選ぶ行為を主語にする。

根拠:消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン」厚生労働省「医薬品等の広告規制」09_薬事レッドフラグ確認.md

媒体リスト、発表日、イベント、キャスティング、最終商品名、最終価格、店舗数、投入日程は、製品・価格・チャネルの検証後に肉付けする。